太くてパワフル 「局地戦闘機 雷電」

太くてパワフル 「局地戦闘機 雷電」

2024年1月27日

 局地戦闘機に求められるものは速度と上昇力を上げるにはハイパワーのエンジンが必要ということで、零戦の設計士で有名な堀越二郎技師は、三菱の離昇出力1460馬力の「火星」を採用。ただ、「火星」は大型機用のため直径が大きく、単発戦闘機に搭載すると、太めの不格好な機体になってしまった。しかも、技術的な問題点も次々と持ちあがり、試作1号機が完成したのは42(昭和17)年2月だった。試作機でも視界不良や異常振動などが発覚したが、改良を重ねて43(昭和18)年10月に量産型の配備を始め、「雷電」の名を与えられて実戦投入された。
 海軍は局地戦闘機として「紫電」に大きな期待を掛けていたが、エンジンや主脚の不調で思うような働きができずにいた。「雷電」は視界不良や離着陸時の操縦が難しいなど、ある程度の技量がある搭乗員でないと乗りこなせない気難しさを持っていたが、急降下性能と加速性、上昇力は抜群で、米軍の超大型爆撃機B29の迎撃では大きな戦果を上げた。総生産機数は630機程度にとどまったものの、エンジンの換装や武装強化、排気タービンの搭載など、さまざまな改良が加えられた。